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技能実習生の妊娠・出産で慌てないために

技能実習生にも労働法が適用されます

外国人技能実習生にも労働法が適用されます。
ですから、日本人と同様に労働基準法の妊産婦等の規定が適用されますし、育児休業も取得することができます。

実習中なのに自覚が足りないなど、技能実習生の妊娠出産に関してはいろいろな意見があると思います。
ですが、現実に起きた場合に慌てないためにも、具体的にどのようにしたらいいのか、技能実習生特有の注意点を考えていかなければなりません。

技能実習生は孤独で不安です

外国人技能実習生が一番不安に思うことが、「帰国させられてしまうのではないか?」ということです。
まずは、技能実習をやめる必要がないことを説明することが大切です。

また、妊娠を申し出た技能実習生に対して、育児介護休業法の規定により
①育児休業に関する制度について
②育児休業の申出先
③雇用保険法の育児休業給付に関すること。
④労働者が育児休業期間及び出生時育児休業期間について負担すべき社会保険料の取扱い
を説明しなければなりません。その際、技能実習生が理解できる言語で説明する必要があります。

今後の実習に関すること、日本で出産するのか、母国で出産するのか等を話し合う

実習実施者には育児介護休業関連のハラスメント防止措置の義務があります。
ですから、妊娠出産を理由に技能実習生の職場での環境が害されないように注意が必要です。
また妊娠中の技能実習生には以下のような配慮が必要になります。

  • 実習実施者は、妊娠中の技能実習生を、坑内業務、重量を取り扱う業務、有毒ガスを発散する場所等に就かせることはできません。
    また、技能実習生から請求があれば、時間外労働や休日労働、深夜労働をさせることはできません。
  • 実習実施者は、技能実習生が妊産婦のための保健指導や健康診査を受けるために必要な時間を確保しなければなりません。
  • 実習実施者は、技能実習生が医師等から通勤緩和、休憩の取得、作業制限、勤務時間の短縮、休業等の指導があった場合には、これらの措置を講じる必要があります。
  • 監理団体・実習実施者は、上記対応によって、技能実習計画で定めた作業内容等の変更が必要となる場合は、技能実習計画警備変更届け出や技能実習計画変更認定申請が必要になります。

日本で出産する場合

出産育児一時金や出産手当金、社会保険料の免除などの支援制度について説明し、該当する場合は手続きのサポートをしてください。
技能実習生が産前・産後休業を取得する場合は、技能実習の一時中断となるため、外国人技能実習機構に技能実習実施困難時届を提出する必要があります。
また、在留資格は「技能実習」を維持したまま、産前産後休業や育児休業を取得して、技能実習に戻った後に在留期間更新の手続きをすることができます。
その前に在留期限を迎える場合は、「特定活動」への在留資格の変更が認められます。
生まれてくる子供も在留資格取得の手続きや、出生届の手続きが必要になりますので忘れないように注意が必要です。

一時帰国して母国で出産する場合

実習の再開の時期や手続等について、技能実習生に説明し、技能実習を終期まで円滑に行えるようにサポートしてください。
また、一時帰国する場合は、外国人技能実習機構に技能実習実施困難時届出書を提出する必要があります。
その後、一時帰国していた技能実習生が、中断後の実習を再開する場合は、中断した理由と経緯を記載した理由書を添付して、技能実習計画の認定申請をする必要があります。

技能実習生が実習終了を希望する場合

円滑な帰国のために必要な措置を講じる必要があり、技能実習生に帰国旅費等を負担させることは禁じられています。
よく、妊娠と出産が理由で勝手に技能実習を終了するのだから、自分は負担する理由がないと、おっしゃる管理団体の方がいますが認められません。
また、外国人技能実習機構に技能実習実施困難時届出書を提出する必要があります。

最後に

技能実習全般に関することは外国人技能実習機構
妊娠中の業務上の配慮等、産前・産後休暇、育児休業制度、労働保険料については都道府県労働局
社会保険料については年金事務所又は健康保険組合
出産育児一時金等については加入する医療保険者
在留資格は地方出入国在留管理局へと、それぞれ手続きや相談先が違います。

煩雑な手続きを正確に行うために行政書士や社労士にご相談することをお勧めいたします。

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